あの後、水の音の元を確認しに行ったけど、蛇口から水は出ていなかった。
首をかしげながらご飯を作り終え、ただ今皆で晩御飯中。
「だからって、ホントに首かしげたまま料理すんなっつの」
『だって、気になったんだもん』
「野菜が焦げてるのは、そのせいか」
『野菜炒めは綾頼んだ。だから私のせいじゃない』
「綾は、料理できないよ?」
「料理なんざ、フライパンがありゃどうとでもなる」
『じゃぁなんでそのフライパン渡してんのに焦げてんだよっ!!』
どうとでもなってないだろが!!
その後も、私と綾の口げんかは続き、料理をほとんど平らげたあたりで、希が話題を転換した。
「でもさ、その子供は気になるね」
「千歳の隠し子じゃね?」
「ばぁか、俺がそんなヘマするわけないじゃん」
「迷子・・・にしてはおかしいよな」
『なんで?』
「こんな森の奥でふらつくか?」
『ふらつくでしょう、私もよく迷子になったし』
「普通の子供はこないでしょ。ユウが変なだけ」
だから黙っててね、と黒い笑顔で言われちゃったよ。
・・・私って、変な子だったんだ。
「そういや、春臣は?」
「なんかいる気がする~っていって、家ん中調べてる」
「えっ、じゃぁその子供って・・・!!」
「多分ね」
『あれ、桜李サン手ぇ震えてますよ~?』
「ばっ、うっせぇ!!震えてねぇし!!」
『あっ、桜李の椅子の下にあの子が!!』
「っ!!」
ガタンッと椅子を倒して桜李が立ち上がった。
『あっはははははっ!!!ウケる!!』
「ギャハハハハッ!!桜李、怖いんだなっ!!」
「・・・クククッ」
「フッ・・・あんまし・・・フフッ いじめてやるなよ・・・フフッ」
「・・・(笑)」
5人とも大爆笑。
笑われてる本人は、顔を真っ赤にして喚いている。
「ふっざけんな、ユウ!!」
『あはは~ごめんね~』
「うぜぇっ!!しばくっ!!」