セクシャルハラスメント綾の鳩尾に、悠サマ右ストレートを繰り出して、春臣のもとへ駆け寄る。



『あ、あのさ春臣。このこと、黙っててくんね?』


「ん?いいよ」



二つ返事で了承!!

二つ返事で了承!!



「なんで二回言ったんだ?」


『感激したから』



私の周りには、見返りばっかり求めるおバカさんだらけでねぇ。




「希と綾だけだろ」


『人は誰しも、見返りを求めるモノなのだよ』


「春臣が人間じゃねぇみたいだな」


『春臣、神様』



春臣の後光が見えねぇのか!!




『ところで桜李君。食材は、何を買ってきたのだね?』


「鶏肉とか。ハンバーグ食べてぇの、オレ」


『鶏肉でハンバーグは作れねぇ』


「あとは~・・・これとか。」


『ササミジャーキーじゃねぇか、それっ!!

誰が食うんだ、犬の餌なんて!!』


「ユウ」


『即答?!雑用やらすだけやらして、挙句の果てに犬の餌?!』


「斬新なアイディアだろ?」


『千歳と一緒に、湖に落ちて死ね!』




どうせ誰も片づけなんかしてないだろうと思い、キッチンへ行くと、春臣と希が冷蔵庫に入れてくれてた。



『・・・あれ?希、ここにあったバラ、動かした?』


「何?バラって。ユウ、バラを持ち歩く趣味があったの?」


『毒舌!!ちょっと聞いただけなのに、精神すり減ったぁぁ!!』


「バラなんて、なかったよ?」


『マジでか』



桜李が動かしたのかな?




「・・・・・・」



首をひねる私を、春臣は黙ってじっと見つめていた。