『綾、やばいよ!!』
「何が」
めんどくさそうな顔でごろんとこっちを向く綾。
貴様はどこぞのニートか。
『さっきお風呂に行ったらね、すんごい綺麗だったの!!』
「へぇ~。掃除の手間が省けたな」
『そうなんだ、労力が節減されたわ~って、そうじゃなくて!!』
「何興奮してんだ、俺の寝姿に興奮してんのか?」
『う~ん、写真撮ったら儲かりそうだけど、どうでもいい。
でさ、この家入った時、このフロア埃っぽかったんだよ』
「あ?随分頑張って掃除したんだな」
『人の話、最後まで聞いてください!
掃除せずにキッチンに行ったわけよ。
で、エントランス通ってお風呂行ったわけ。
そん時もまだ埃っぽかったんだよ?
なのに、お風呂から戻ってきたらこのピカピカさ!!
絶対この家、なんかいるよ!!』
「あぁ~そういや春臣がそんなこと言ってたな」
『だろ?!で、俺考えたわけ。
きっと忍者いるよ、これ』
「・・・は?」
『見えないとこで掃除してくれるなんて、忍者しかいなくね?!』
「まぁ・・・なくはねぇな」
『だしょ?!ちょっとお供え物してくるよ』
「供えんな、馬鹿か。忍者じゃなかったらどうすんだよ」
『・・・そ、そいつを供える?』
「ほら見ろ、考えなし」
『うぅ…』
寝っ転がってた綾は、体を起こして当たりを見回した。
「アイツらが出かける前、春臣が意味深なこと言っていきやがった」
『春臣が?ってかお前、俺と二人になるとよく喋るな』
「気のせいだ、てめぇの耳が腐ってんだ」
『なんてひどいことを!!』
「なんかいる、気を付けて」
『えっ、どこに?!っつかその喋り方似合わないよ、キモイ!!』
「・・・って、春臣が言ってた」
『いだだだだっ!ごめん、先走りました!』
龍づかみ、再び。