湖畔の側には、大きな古い家が。



『家っつーか…屋敷?』


「俺らの別荘なんだよ」


『別荘?!どんだけ金持ちだ』


「綾も千歳も翼も持ってると思うぞ?」


『へぇ~・・・』




金持ちってわかんないや。






別荘の中に入ると、少し埃っぽいけど綺麗だった。



『ふおぉぉ、巻き毛の貴族出てきそう』


「ちょっと掃除しなきゃだけど、住むのに不便はないと思うよ」




希が鞄を置いて、う~んっと伸びをしながらこっちへやってくる。



『掃除?!やるやる!!』


「よしっ、じゃぁユウに任せようかな?」


『え、ちょっと待っ…』


「俺ら食材買ってくるから」


『ひとりでや・・・』


「じゃっ、よろしく」




希は、財布を持って外へ出て行ってしまった。


外には、既にボールで遊ぶバカトリオ。


・・・を側で見てる春臣&綾。


綾は、寝起きのことは大概覚えてないので、さっきの事故のことは忘れてるだろう(と思いたい)







『・・・あいつらに掃除させたら、物壊しそうで怖い』




起こりうるであろう事態を予測して、しょうがなく一人でこのお屋敷を掃除することにした。





『とりあえず、水と火の確認から・・・』


キッチンらしき場所へ行く。

キッチンも広くて、3人ぐらいで一気に作業ができそうだ。


水を蛇口から出し、コンロの火をつける。




『よっしゃ、大丈夫そうだな。


・・・ん?なんだ、これ』



調理台の一番端っこに、小さなグラスにいっぱいの水と、その中には水みずしく咲く赤いバラ。