綾は無表情で頭を鷲掴み。
っていうかもう、龍づかみ?
鷲どころじゃないよ、この力。
龍玉持つ代わりに、私の頭持っちゃいました、的な?
『どどど、どうしたんですか、痛いんですけど』
「……」
『な、なんかしましたかねぇ?』
「・・・・・・」
『話して、放してくださ~い』
「おっ、ユウうまいこと言うね」
『外野はお黙り!!』
「プクククッ 綾ったら、嫉妬ですか~?」
「……」
頭にある手に、さらに力がこもる。
『いだぁぁぁ!!マジでトマト!!
千歳ぇぇぇ!!煽るなら、交代しろ!』
「痛いのやだぁ~」
『どこの女子高生?!』
魔王の降臨ですっかり賑やかになった車内。
「・・・ちょっと厄介かも」
爽やかイケメンで霊媒師の卵の春臣が、こんなことを呟いてるなんて、誰も気づきはしなかった。