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『あのさ。高校の遠足って、自分の足で目的地まで行くもんじゃね?』



絶対、黒塗りの高級車で行くもんじゃないと思うんだよね、私。



「別荘まで遠いよ?ユウだけ降りて歩いてくる?」


『いやいや、目的地付近まで電車とかで行って、そっから歩くんスよ。Do you understand?』


「庶民の遠足のことなんか知ったこっちゃねぇよ。

I can't understood」


『英語、曖昧!!まさかの過去形!!』


「桜李は、英語が苦手だからねぇ」


「無理に使わなくてもいいのに」


「うるせぇ!!苦手じゃねぇ!!」




高級車の中で、高校生が7人で騒いでます。

しかも私以外、めっちゃイケメン。



これ写真撮っとけば、かなりの値段で売れるんじゃね?

近くの女子高の皆さんが、桜龍かっこいいって騒いでたし。




ガサゴソと鞄を漁って、デジカメを取り出す。

それを見た春臣が話しかけてきた。



「蓮条、写真撮るの?」


『うん、思い出作り(半分嘘)』


「へぇ、意外と子供」


『今この瞬間が大事なんだよ!!』


「どっかで聞いたようなセリフ・・・」


『俺もそれ思った。

・・・あれ?電源つかねぇ』



何度電源ボタンを押しても、画面は暗いまま。

むしろイライラし始めてる私の顔を映すだけ。



「充電切れ?」


『いや、朝は充電満タンだったんだけど…』


「ユウ、貸してみ?」



情報操作担当の千歳が、手を伸ばしてきた。