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206号室




『仕事が~溜まって~います~

ドナドナド~ナ~ド~ナ~』


「おぃこら、その歌止めろ」


『ん、お気に召さなかったか』


「召すか。飯食ってんのに、何が悲しくて牛が売られる歌きかにゃならんのだ」


『切ないね・・・』


「しんみりさすな!」





今日は綾と二人で晩御飯を食べてます。

ちなみに、牛肉は使ってません。


なのに綾の機嫌が悪いのは、どういうことでしょうか。





そして、今日はどこにもお出かけにならないようで。




『今日はずっといんのか?』


「あ?今日”は”ってなんだ」


『こないだは居なかったから』


「あぁ~…」


『お姉さま方と遊んでて、門限も守れなかったみたいだから』


「待てマテ、それは誤解だ。あそんでねぇ」


『希が言ってたよ?』


「アイツの言うことは6割方嘘だ」


『でも綾が言うことも、嘘ばっかじゃね?』


「何を根拠に言ってんだよ。っつか、お前オムライス以外に作れねぇの?」




不満そうにオムライスを食べる綾。

「嘘つかねぇ」なんて嘘つく綾。

時折誰かとメールしてる綾。

あんまし目を合わせようとしない綾。




『・・・ムカつく』




なんでこんなにイライラするんだ?

千歳が目の前でおんなじ行動しても、全然苛立たないのに。


むしろそのまま喋りかけんなとも思うのに。




『・・・ドナドナド~ナ~ド~ナ~


にばしゃがゆ~れ~る~』


「だから歌うなッつの!!」


『・・・うふっ』


「きめぇ」




喋んのがコイツだったら、こんなにも嬉しくなる。


青春か?

私の脳内、桜舞散ってバラ色に染まってますか?!