『・・・・・・』



静かだと思って後ろを振り向くと、アイツがいなくなってた。



『・・・・まぁいいか』




バカだけど、仮にも赤アゲハ。

うるさくてウザいけど赤アゲハ。


なんとかなるだろう。



裏道を抜けると、小さな広場があり、数十人のやつらがケンカしていた。




『人数多いな。休日だってのに、ご苦労なこった』




辺りを見回すと、右手に携帯、左手にバイクの鍵を持った、希が少し離れたところに立っていた。




「うわっ、翼も殴られた。いたそー」




・・・そういやコイツ、生粋の腹黒ドSだったな。

普段の落ち着いた物腰からは、到底想像できないけど、桜龍のやつらは全員知ってる。





『希。』


「あっ、綾だ。遅いじゃん、電話したのに出ないし」


『あぁ、サイレントモードにしてた』


「授業中はマナーモードにしてるくせに、何でもない時にサイレントにすんの、やめなよいい迷惑」


『あぁ、すまん』


「っていうか、ユウにも繋がらないんだケド。どこ行ったの?」


『はぐれた』


「へぇ~・・・まぁ大丈夫でしょ」


『あぁ、大丈夫だろ』




一週間放っといても、大丈夫な感じだからな。