「桜李、その辺にして、さっさと歩いて」


「わっ、ごめん兄貴…」


『最近思ったんだけど、希って実は腹黒??』


「今さらだな」


「めちゃくちゃ黒いぞ、あいつ」


「こないだも、捕まえてきた敵チームのやつに情報吐かせたの、希だからな」


「逃がした時のソイツの怯えようったらなかったな」


『・・・一体何したんだろうな…』


「「「さぁ…」」」



腹黒エセ紳士、恐るべし!!

さっきの勘定も、実は桜李が希の分払ってたんだよね・・・




希の腹黒もそこそこに、10分ほど歩いたところに倉庫があった。



周りにはバイクが何台か止まっており、既に何人かは集まっているようだ。





『あっ、私皆の前にでたことねぇや』


「今から挨拶すればいんじゃね?」


「そこらへんは綾に任せときなよ」


『そうする~、綾よろしくな~・・・って、あれ??』



周りを見ると、綾がいなかった。





『希、綾がいない!!』


「そこら辺にいるでしょ」


「俺ら先に入っとくから」


「おい千歳、トランプやろうぜ!!」


「大貧民なっ!負けたら罰ゲーム!!」




なんて薄情な幹部たち!!

総長がいなくなったのに、あんなに平然としてられるもんなのか??!



倉庫の入口から周りへと視線を向ける。




『綾~、総長さ~ん、祠堂さ~ん、ツルっぱげ~』


「誰がツルっぱげだ」


『うぉぅ!!意外と近くにいたんだなっ・・・って、何持ってんだ??』




綾は私の斜め後ろの木の辺りに座り込んでいた。

しかも、両手で何かを抱えているようだった。