「・・・本気でこれ買うのか?」


『赤アゲハの必需品だからネ』




在庫Tシャツの文字は、



”本能寺の変”

”王政復古の大号令”

”背水の陣”





『渋いっ!!シブすぎだぜ、フジコチャン!!』


「こんな服買っていくの、あんただけよ??」


「だろうな…」


「っていうか最後の背水の陣って、故事じゃん」


「・・・ださっ」


『いいのっ!!普通の服なら他のとこでも買えるけど、これはここしかないんです~!!』


「はいはい、ケンカしないの。さっさと金払って出ておゆき」


『フジコちゃん、いきなり冷たい!!

客に対してそれはないんじゃない??!』





厄介払いですか??!

もしかして、このTシャツが無くなるのが嫌だから不機嫌になっちゃったとか??!




『なんだよ~、それなら早く言ってくれれば良かったのに~!!

それなら買わないで帰るよ、貴重品だもんね!!』


「おぃっ、いきなりどうしたんだ??!」


「妄想炸裂だな、おい」


「いらないわよ、さっさと買って行っちゃて」


『織田信長に謝れ、ばかぁ!!』





さんざんバカにされながらも勘定をすませて、店を出ようとすると、フジコちゃんが私を引き止めた。




「ユウ」


『ん、何?やっぱりこれ、買って欲しくなかった?』


「あんたもしつこいわね、いらないっつってるでしょ。

そんな事より、最近いろんなチームが暴れてるのはもう知ってるわよね?」


『うん、こないだ銀龍…だかなんだかを倒したョ?』