『親父は普通のリーマンだよ??(嘘)』
平静を装って、ひきつりそうな笑顔で希に答える。
「うちの学校、それなりのお金持ちじゃないと入れないんだけどな~」
『そっ、そうなんだ~、もしかしたらヘソクリいっぱいなのかなぁ?』
「今度母さんに聞きゃあいいじゃん」
「そだね」
はっ、そうだった!!
コイツらの母親って、理事長だったんじゃん!!
「あぁっ、ってかもうこんな時間!!」
千歳が時計をみて大声をだす。
今は10時。3時間もここにいたのか…。
「おわっ、ホントだ。後片付けは明日でいいから、そろそろ帰ろうぜ?」
『??何をそんなに急いでんだ?』
「寮長、時間に厳しいんだよ」
『へぇ~。寮長なんていたんだ』
「うん、11時までに帰ってこないと、キレるんだよ」
「なぜなら、寮長が11時に寝たいから!!」
随分健康的な寮長だな…(笑)
ケータイのメールや留守電を確認して、部屋からでようとすると、綾が髪ゴムとパーカーを渡してきた。
『ん?どうしたんだ、綾』
「お前、そのまま帰る気か?」
『あ。』
考えてみれば、私の今の恰好は、まさに女の子。
で、今から帰るのは”男子校”。
髪と服をなんとか隠せるアイテムを、綾は用意してくれたわけだ。
『ありがとっ、ほんっと気がきくな~』
「・・・・・・」
なんか言えよっ!!
綾がじーっと見てくる。視線の先には、”藩閥政治”
『・・・羨ましいのかっ??!』
「いや、全く。むしろ、そんなの着る神経に感服だ」
『いや~、それほどでもっ』
「褒めてねぇよ」
『なんだよ、褒めてねぇのかよ。
喜び損じゃねぇか、ぬか喜びさせやがって!!』
「お前が勝手に喜んでんだろうが」
なんだよ~、ちょっと見直したのに!!