「ち・こ・く、してきていいと思ってんのか??」


『だって~、今日転校してきたばっかですよ??
多少は見逃してもらえますよ、きっと』


「バカか、転校生とか関係ねぇだろが。」


『ありますよ!!迷子でしたって言えばなんとかなる!!』


「標識と喋ってたくせに、なにが迷子だ」


『見てたのか??!あの一人ツッコミ見てたのか??!』



あれ見られてたとか、はずっ!!

っていうかこの学校の人、あの標識見て何も思わないんだろうか…。





『あのっ』


「なんだ」


『…あそこの標識、おかしくなかったですか??』




ツッコミ満載の標識をじっと見つめる、通行人A君。





「…べつに普通だろ」




うおぉ、さすがマンモス!!

あんな小さなこと気にも留めねぇってか!!



「まぁ遅刻したことは忘れてやる。
それより、金貸してくんね?」


『はぁっ??!』




白昼堂々カツアゲかっ!あいにくマンモスにやる金はねぇ!!




『実は今日財布忘れたんですよねぇ』


「あほか、ここ全寮制だぞ。
今日忘れたら、明日から金なしじゃねぇか」



墓穴っ!!! 前の学校とおんなじように考えてた!!




「お前勘違いしてね?喉かわいたから貸せっていってんだよ」




・・・あれ??カツアゲではなさそう??




「千円貸してくれ」


『何本飲む気ぃぃぃ?!軽く5本は買えちゃいますけど!!』


「俺だけで飲むんじゃねぇよ」


『お友達さんの分?』


「おぉ」


『プッ・・・なんだ、パシられてただけか(笑)』


「んだとてめぇ」


『はい』


「んぁ??」



あえての夏目漱石さんを渡す。

野口さんじゃなくて、漱石さんを渡す。




『ちゃんと返してくださいよ』


「お、おぉ悪ぃな。」


『じゃっ、俺は職員室とか探しに行くので、失礼します!!』