「さて、と。そろそろノブさんが来るころかな」


『ノブさん??なんで?』


「ターゲットの護送をお願いしました。さすがに10人は運べないからね」




なるほど、さっすが皇!!賢すぎ!!

仕事も終わり、明日も休みということで、気分は超ハイテンションになってる私の腕を、誰かが掴んだ。






『へっ???』


「まだ、俺との話が終わってないぜ?」


『…あ、あははは??
やっぱ忘れてはくれませんかね』


「無理だな」





私の腕をつかんだのは、桜龍の総長、祠堂 綾だった。




『・・・ってか、怪我!!』


「ん??あ、あぁ。これくらいどってことねぇ」




綾の腕と頬は殴られたのか、真っ赤にはれていた。






『あぁぁぁぁっ!!綾の綺麗な顔に傷が!!

どうしよう、私のせいだよ!!』


「なんでお前のせいなんだよ」


『私が調子に乗ったからだよっ!!

マジでごめんなさい、何でもするから許して??!』


「ちょっと、ハルカ!!」


『へ??…はっ!!Σ』





皇に呼ばれて我に帰ると、目の前には悪いことを考えているとしか思えないような笑みを浮かべる綾サマの顔だった。



ちなみに”ハルカ”っていうのは、赤アゲハのときの私の偽名。

理由は、悠が”ハルカ”とも読めるから。



”ユウ”って呼んだら、正体ばれるかもだしね。




「へぇ、なんでも」


『あ、あああああのですね・・・

ぜ、前言てっか…』


「撤回すんのか?

ハッ 威勢がいいのは口だけかよ









情けねぇな」






―――――ブチィッ!!



バカにしたような顔で、ハッと鼻で笑う綾に、私の中の何かがぶちぎれた。