銀龍の総長らしき男と綾の繰り出した拳を受け止めた私。
こんな小さな”女”が間に入ってきたのに驚いたのか、二人は動きをとめた。
『てめぇら、こんなとこでぎゃぁぎゃぁ騒ぎやがって…』
ぐっ、と掴んだ手に力を入れる。
二人の顔が、痛みからか少し歪む。
『近所迷惑だろうがぁぁぁぁ!!!』
でかい声を出して、銀龍の総長を思いっきり殴り飛ばす。
さすがに、ルームメイトをイテコマスのは気が引ける。
自分のせいで顔が腫れてる綾を見るのは、罪悪感半端ないし。
私が大きな声を出したからか、銀龍の総長が吹き飛んだからなのかはわからないが、公園が一瞬にして静かになった。
さっきまでの騒ぎが、嘘のようにしん、としている。
う~ん、閑静住宅街万歳!!
「なっ、細木さん!!」
「こんのアマ、よくも総長を!!」
「殺すぞ、ごらぁ!!」
自分たちの総長をぶっ飛ばされた銀龍のメンバーは、怒りをあらわに私の方へと向かってくる。
『はぁ~・・・閑静住宅街・・・』
「おいお前!!早く逃げろ!!」
綾が私の肩を掴んで、その場から離れさせようとする。
が、私は頑としてその場から離れようとしない。
(なんで動かねぇんだよっ)
力いっぱい引っ張っても動かないユウに、驚きと苛立ちが募る。