早くしないと遅刻しちゃうのに話の内容が気になって思わず聞き耳を立ててしまう。




何してるんだろう…あたし。


ここで壱吾達の話を聞いたって、自分の心を傷付けるだけなのに。





「つぼみちゃんってブスじゃねぇけど、正直冴えないじゃん?しかも柔道部だし。あんな子フって正解だったんだって!」




“冴えない”



自分でも本当のことだって思った。






「しかもお前さ、ほんとは好きなやつなんていねぇんだろ?」

「――あぁ」




ドクンと胸の鼓動が波打つ。



息が止まるかと思った。




あたしが壱吾にフラれた理由って、壱吾に好きな人ができたから……じゃないの?




「やっぱ微妙なやつよりは美人の方がいいよなーっ。ま、お前ならすぐ上玉の女捕まえられるって!」



いたたまれなくなり、あたしはその場から逃げるように走り去った。





―――そっか。…なんだ。そういうことか。