「ふぅー…今回の新規は手強かったー」

「おつかれー。はい、これ」



新規に注意をし終え、戻って来た潤に和也は書類の入ったクリアファイルを渡した。




「何だこれ」

「“野田つぼみ”に関する情報。俺と冬夜はもう見たから」

「ふーん…」



潤はクリアファイルから資料を取り出し、ぱらぱらと目を通す。




「――3年1組、野田つぼみ。2つ下の妹が一人、父親はサラリーマンで母親は専業主婦。家庭は極々一般的。柔道部副部長で…うわっ、去年の全国大会で3位だって!……こえぇー…」



潤の手からばさばさっと資料が落ちる。




「確かに。今回のターゲットはいつものターゲットとは違うよな。たくましいっつーか、なんつーか……あ"ぁ"ーっ!言葉が見つからねー!」



両手でぐしゃぐしゃと髪を掻き乱す和也。



……せっかく整っていた髪型が台無しだ。





「お嬢様系とか、か弱い系の女には飽々してたし…俺らにはちょうどいいんじゃねぇ?」




ソファーに寝転んでいた体を起こし、うんざりした表情で冬夜がそう言った。