ブロマイドの売買。



ファンクラブ会員の出待ちは日常茶飯事。


生のBeautyに会うためだけに学園に入学してくる女子生徒も少なくない。




あたしみたいな一般家庭に生まれた凡人には一生縁のない世界なんだろう。





「君、名前は?」

『へっ?』



明るい茶髪のイケメン君が二三歩くらい前に出て、首を傾げながらあたしに聞いてきた。





―――夢じゃないんだろうか。




あたし今……Beautyと話してるんだよね?





「だからー、名前!」



急かすように詰め寄ってくるイケメン君。



かろうじてBeautyの顔は知っていたけれど名前は知らないあたし。




でもBeautyに興味ないんだから、こればかりはしょうがない。





『…野田つぼみ……』



一歩下がって距離を作ってからあたしは答えた。



……あぁ、イケメンは心臓に悪い。





「つぼみかぁー。いい線いってんじゃんこの子。あんまり騒がないから俺らのファンじゃなさそうだし。―――どう思う?和也、冬夜」


「俺はいいと思うよ。冬夜は?」

「……いいんじゃねぇ?」



ちらちらとあたしを横目で見ながら囲んで話をするBeauty。



Beautyは内緒話でもしているつもりなんだろうけど…結構な声量で話してるからあたしには丸聞こえ。




さっぱり意味が分からない。