どれくらい泣いたんだろう。



何回か予鈴が鳴った気がするけど、どれくらいの時間が経ったのかは分からない。




この先あたしはちゃんと―――壱吾を忘れられるのかな。




考えるのはそのことばかりだった。






涙がやっと収まってきたと思ったら何か眠くなってきて、


ちょっと昼寝でもしようかな…なんて思って目を閉じようとした――その時だった。





「――君さ、いつまでここにいるつもり?」



いきなり男の子が現れたのにびっくりして、あたしはざざっと後退る。




……心臓止まるかと思った。






「君がここに来てからさー、3時間22分も経ってること気付いてる?」

『さ、3時間!?』



通りで目が痛いわけだ。



3時間も泣いてたら…目も痛くなるよ。




「………」


『なっ…何ですか?』



男の子はあたしが座り込んでいた階まで登ってくると、


無言でぐっと顔を近付けあたしの顔をじっと見つめてきた。





近くで見たらとても男とは思えないような綺麗な顔で。



髪もほどよい茶髪で、毛質もサラサラ。



かっこよく制服も着崩していて…まさしく、イケメンの代名詞といえる顔立ちだった。