「裕也ッ?!」

ズカズカと歩いて行く裕也を私は人ごみをよけながら追った。

「まって!」

やっとのおもいで裕也の裾をつかんだ。

「……怒ってる?」

そう尋ねると裕也はゆっくりと揺りかえってほほ笑んだ。

「怒ってないよ?」

よかった…いつもの裕也だ……


ホッとした私が間違えていた。

裕也はまたすぐに前を向いて、

「……俺帰るわ」

とつぶやき走って行った。


賑わう夜のまちで私は独りで崩れ落ちた。