あともう少し…


  そう思った瞬間,真一郎さんはマンションのような建物の前でとまった。

 「しんいッ…「ごめんね待ったー?」


  私の声に重なったやけに明るい声。

 マンションからでてきたのは,髪をしっかり巻いて露出度の高い服を身にまとう女性だった。

 きっと私と年齢はおなじ…。でも仕事は私よりすごいかも

 「風俗とかかな…」

  心の声がつい口にでて私はハッとした。

 
  だめ…腕なんか組まないでよ…

    そんなにくっついてどこ行くの…?


  心からはどんどん不満があふれだす。


  私はしばらく,ほおに涙のすじが通っているのには気付かなかった。