やっと着いた場所は屋上だった。何で屋上?しかも着いたのはいいけど手は繋いだままなんですけど…。 「ねぇ」と切り出したのは伊織だった。 
「優しいって言ってたよね?別に優しくないよ、俺」真剣な目で私を見て言う。違う。そうじゃないよ。 「優しいよ。何て言ったらいいかわかんない。けど、私は伊織の全てを知ってる訳じゃないし、勝手に勘違いしてるだけだろうけど、伊織の優しさは温かいよ、私には」変な奴だと思われてるだろうな。でも、あの優しさは咲にも見せた事ないんじゃないかって。私は思う「特別」って思うのはおかしいかな???
しばらく伊織は黙ってしまった…。
繋いでいる手が熱いくて、沈黙が怖い。そんな気持ちで押し潰されそうになっていた。