それもあってか。


『俺、死のうと思うんだ。』


中学生の頃、だったか。

冗談で死ね、とか、死ぬ、死にたい。そんな言葉を連発するような年頃だったし、いじめられて本気で自殺を考えるヤツも居た。

『死のうと思うんだ。』と言った孝司は、そんなヤツらの誰よりも綺麗で、汚れない顔でそう言った。その言葉を発する一ヶ月前、孝司の兄さんが亡くなっていた。家族想いの出来た兄さんで、近所の子供、というだけの俺達にも優しかった。…そのせいで孝司の母さんは、頭がおかしくなってしまった。


その頃孝司は、家に全く帰っていなかった。何処で遊んでいたのかは、知らない。すぐに学校には来る様にはなったが、孝司が家に帰る様子は無かった。