中学校の時、交通事故で死んだ同級生の女子が居た。

死の二日前に、彼女は孝司に告白していた。彼女は俺や孝司と幼馴染で、通称カナちゃん。孝司も昔から彼女が嫌いではなかったから、良いよ、と返事をしていた。
だから、小さな噂が立ったことが有るのだ。…馬鹿でも嘘だとすぐに分かる嘘が。

『矢島孝司と両想いになったら死ぬ』

不幸なことに孝司はとても綺麗な顔立ちをしていた。女子からの注目も浴びていたし、当時はまだ真面目だった。サッカーの選抜選手だったこともある。彼に思いを寄せる女子は決して少なくなかった。

女子の情報伝達スピードは予想よりも早く、学年中に知れ渡ったその噂。

孝司にしてみればいい迷惑だったのだろう。幼馴染を亡くした上変な噂を立てられるのだから。