「覚えてるか、初めて会ったとき」
「覚えてるよ、猿山の餓鬼大将」

小さな頃、孝司は住宅街の子供達の餓鬼大将だった。

喧嘩は強いし、何より優しくて皆に慕われていた。大人は皮肉のように、彼を猿山の餓鬼大将、そう呼んだ。

「最初に殴ったのはどっちだっけ?」
「孝司」
「絶対悠希だろ」

あはは、と久しぶりに腹の底から笑ったような気がした。