「惜しかったけど、準優勝だよ」
吾妻はまだ悔しそうにしている。が、結果として十二射十中、準優勝という成績を収めた。
電車の中で、溜息ばかりつく吾妻。ちょっとうざい。外面を取り繕った人間よりはましか、寧ろこっちが溜息をついてしまう。

移っていく外の景色。日も暮れかけていた。このままぼんやりしていたら寝てしまうかな、と思ってしまう。

『次は―…』

アナウンスが入り、そういえば次で降りるものだったと気付く。良く見ると見慣れた景色が窓の外に広がっていた。今通りすぎたのは、幼い頃に遊んでいた公園。孝司が持っていたあの写真の場所だ。