「並河…ユイ?よろしくねっ」


高校の入学式の日

隣の席の直樹はそう言って笑った。




藤田直樹は見た目こそ茶髪でしまりのない顔で
軽い感じだが、実は誰よりも優しいヤツだった。

休み時間は直樹の周りにたくさんの人が集まり笑い声が途切れることはない

けれど、私はそんな直樹が最初あまり好きではなかった。



「ねぇユイ」


「…え、私?」


「うん。ユイって君しかいないでしょ」


「そうだけど…」



話したこともないのにいきなり名前呼びだし



「ユイっ一緒に昼食べよー」

「え、でも私他の友達と約束してて」

「いーから!さぁ屋上までレッツゴー!」

「ちょっ……藤田!?」



強引だし



「ユイ勉強教えてっ」

「嫌だ」

「なんで!?」

「めんどくさいし」

「お願いっなんかオゴるから!」

「…まったく、しょうがないな」

「いいの!?やった!ありがとユイ!大好きぃ」

「なっ……」


平気で大好きとか言うし!