「ねえねえ、兄貴は将来何になるの?」


「弁護士」



唐突な質問にも拘らず、即答された事に一瞬尻込む。



「何で弁護士になりたいの?」


「頭よさそうだから」



単純な答え。


しかしその裏にはきっと、言い切れない憧憬や思いがあるのだろう。


「ふーん」


思い返せば、兄貴は優秀な割りに余り本を読まない。


その代わり無類の刑事ドラマ好きであった。


推理小説の好きな俺は、刑事ドラマも同じく好きで、兄貴と一緒になって刑事ドラマを見ていたが。


そうか、兄貴は裁判のシーンが好きだったのか。


法学部に入学する兄貴はどうやら、大学と将来の夢が結びつきそうだ。



兄貴はこの主人公と違って、しっかりしてんな。


俺は再び本の世界に浸った。