「え…?」




すべての花が落ち終わると

そこにはぽけーっと姫花を見ている顔が見えた。




前髪を左右に流し

小さな冠が乗っている頭にはまだ白い花がひっかかっている。





目があった瞬間

姫花はその視線を逸らすことも

言葉を発することもできないくらい

全身が金縛りのように動かせなくなった。





お互いに見つめ合ったまま

カチコチという時計の音だけが響いく。




「ひ…めか…?」


最初に沈黙を破ったのは

呆然と立ち尽くす女性のほうだった。




掠れるような小さな声で呟く。



「ひめ…か?」