不思議と懐かしい気持ちになって

その刺繍を指でそっとなぞった。





カチャ…



不意に正面にあった

大きな扉がゆっくり開いて

そこから

深緑色のドレスに

赤い髪を長く伸ばした

女性が大きな花束を抱えて入ってきた。


あまりにも花束が大きくて


顔が隠れている。



コツ、コツと響く足音も

ふらふらと危なげだ。