「レミちゃん、ワタベくん、明日もこのセット使うから今日は片付けなしでこのまま帰っていいよ」
「あ、じゃあ先に失礼します」
ワタベくんは礼をするとそそくさと帰って行った。たぶんワタナベさんを追いかけるんだと思う。
「じゃあ私もここで……」
「ちょっと待ってよレミちゃん」

前田先輩に腕を引っ張られてスタジオの隅に行く。小さな声で前田先輩が、
「ヒロとこれから一緒に帰れば?」
って言った。私は断固否定をする。
「そんな恋人みたいな事しません!!」
「一緒に帰ると喜ぶよ、アイツ」
「か、帰りません!!」
「ふーん……」
そう前田先輩は言うと楽しそうに笑った。何か考えているように。
「まぁ、後で連絡してやってよ」