「僕すごい人見知りで。女子とか男子とか関係なしにちゃんと話せるの、幼なじみのサキコだけなんです。
だからサキコがアルバイトするって言って、僕もやろうと思ったんです。
だけどすごく心配だったんです」
ワタベくんがこっちを向いた。

「だけど、仕事の仲間が内藤さんで、僕本当によかったと思いました」

そんな台詞、笑顔で言われたら誰だって何にも言えなくなってしまう。
それからは、二人とも一言も喋らずにずっと収録を見ていた。だけどワタベくんの台詞とかいろいろ考えていて、ヒロくんの台詞が全然入って来なかった。
スタジオのライトが付く。
収録は終わったみたいだ。
「お疲れ様ー」とか、
「皆さんおつかれしたー」とか、
皆言っている。