私はまだ意見を言ってないのに。見る事を強制されてしまっている。
……って言うか、なんでまたワタベくんと一緒に?!すごく気まずい。
なんかポケットにお菓子とか入ってないかと、手を入れると四角い固い物がある事に気がついた。

「これから収録始めます、よろしくお願いします。カメラ回してー」
プロデューサーさんみたいな人が合図したと同時にヒロくんとか、その他の俳優さんも入ってきた。

マイクに拾われないくらい、小さな声だったら喋ってもよかった気がする。ワタベくんに学生証明書を渡すだけだし……
いいよね、たぶん。足を抱えて座っているワタベくんの隣にいく。
「……ワタベくん、コレ」
ワタベくんが顔を上げる。