「まぁ、今回はアイツが悪いな」
そう言うと小さな声で笑って何事もなかったかのようにコードを拾って素早く繋ぎ合わせていく。
私なんてさっきからやっていたのに、前田先輩の半分も作れていない。

前田先輩と私じゃ、仕事のこなし方が全然違う。前田先輩はプロなんだと改めて実感する、させられる。あっという間に作業は終わってしまった。
「手伝ってもらってありがとうございました!!迷惑かけてすみません」
「次回からは無理しないでね。そろそろサキコちゃん達終わる頃だから、俺らもスタジオ入ろうか」

そう言うと、前田先輩は慣れた足取りでコードを跨いでスタジオに入る。私は引っ掛からないように慎重に入った。
ちょうど、ワタナベさん達もスタジオに入って来ていた。