僕のぽっちゃり彼女

「ちょっと、お父さん!!
真樹さんはそんなんじゃないって!!」


バキッ!!  ドスッ!!


真菜ちゃんのフックに
アッパーが炸裂!!


チーン。


ノックアウト!!



これ以上傷つけないで・・・(泣)





二人の言葉に傷ついて俯いていると、


「ただいま!!」


んん!? 誰か帰ってきた!?


俺が顔上げて見てみると、


「あっ・・・!!」


「あれ!? 真樹くん!?」


「ち、千春さん!?」


これは思いもよらぬ再会だった。




「なんでここにいるの?」


「えっ、いや・・・
千春さんこそ、なんで?」


「ここ私の家。」


ええっー!!!


ここ千春さんの家だったのぉー!?


そういや、名字は相田だった・・・



うそぉぉぉーん!!!(驚)










相田千春。

俺の高校時代の先輩で憧れの人。


まさかこんな偶然が・・・



「真樹くん、お姉ちゃんと知り合いなの?」


真菜ちゃんが俺の方を見た。


「えっ!? ああ、うん。」


と、言うことは当然、
二人は姉妹・・・



うそぉぉぉーん!!!(驚)


まさに偶然!!
俺は言葉を無くしていた。




あれは高校1年の夏の終わり・・・



千春さんは俺たち野球部の
マネージャーをしていた。


スタイルもよく美形な千春さんは
もちろん学校中のアイドル。


俺はそんあ千春さんに
ずっと憧れていた。


いや男子だれもが憧れていたに違いない。


千春さんは美人だけじゃない、
マネージャーの仕事も完璧にこなし、
選手への気配りも忘れない。


そんな、気配りのできる女性だった。





もちろん、そんな彼女に
彼氏がいないわけがない。


野球部のエース!!
宮本先輩。


とにかくすごい選手で
プロからも注目されていた。


そんな宮本先輩の彼女だったんだ。


まさにお似合いのカップル。
俺なんかが手に届く人じゃなかった・・・



そんな宮本先輩の活躍もあって、
俺たちは準決勝まで勝ち進んだ。


そして、準決勝当日・・・


その日は今年の夏一番の暑さを
記録した日だった・・・



「真樹くん。頑張ってね!!」


「は、はい!!」


俺は試合前、千春さんに激励を受けた。










俺は唯一、一年生でベンチ入りを
していた。


そして、そんな大事な日に俺は、
スタメンで試合に出ることになったんだ。


準々決勝で足を痛めた先輩の代わりに
・・・


それが悪夢を呼ぶことになる・・・




暑さの中、試合は白熱した。


事実上決勝と言われるくらいの
強豪同士のぶつかり合い。


どっちが勝ってもおかしくない。
一つのエラーも許されない。
そんな試合だった。



先取点はうちの高校が先に奪った。
そして試合は進み、1点をリードしたまま
最終回を迎えた。