そして、どちらからともなく視線を合わせた二人・・・
真菜ちゃんの手は少し震えている。
俺はその手をギュッと握り、笑いかけた。
真菜ちゃんがホッとしたように微笑んだ時、
俺は真菜ちゃんにキスをした。
こうして、俺と真菜ちゃんは付き合うようになりました。
めでたし、めでたし。
では、なかったんです。
これからが本当の修羅場。だったんです・・・
「真菜、行くぞ。」
「は、はい!!」
俺が手を差し出すと、笑顔でそっと掴む真菜。
もう、ちゃん付けしない。
正真正銘、俺の彼女。
俺達は幸せな時間を送っていた。
そんなある日、俺の携帯が鳴った。
♪♪♪♪♪
「はい? もしもし。」
「あっ、真樹?」
「えっ?」
「私だよ、幸恵。」
「幸恵?」
「うん。 久しぶりだね。 元気してた?」
なんで今ごろ幸恵から電話が?
俺は悪いことを思い出したかのように、
全身に嫌な感じを覚えた。
山見幸恵、俺の元彼女。
真菜と出会う、半年前に別れたきり
会っていなかった。
その幸恵から電話があるなんて
考えてもいなかったから・・・
◇◇◇◇◇
俺は幸恵がホントに好きだった。
出会った時の幸恵は
恋に傷付きボロボロだった。
そんな幸恵をほってはおけず、
俺は毎日のように電話やメールで励ました。
「寂しい。」と言えば会いに行き慰めた。
そのうち、幸恵のことが好きになってた。
『俺が幸恵を守ってやりたい!!』
そう思うようになったんだ。
次第に幸恵は元気を取り戻し、
よく笑顔を見せてくれるようになった。
その笑顔が本当にかわいくて
俺はどんどん幸恵に惹かれていった。
幸恵は美人でスタイルもよかった。
でも、俺はそんなとこに惹かれたんじゃない。
その笑顔にやさしい心に惚れたんだ。
幸恵も俺を好きと言ってくれた。
そして俺は幸恵と付き合うようになった。
幸恵は甘え上手で、
いつも俺を頼ってくれる。
それが俺の男としての、
プライドを立ててくれた。
友達は美人の彼女だと羨ましがる。
俺はとても幸せだった。
けど、彼女には一つ欠点があった。
人懐っこいこと・・・
これは決して欠点ではない。
けど、幸恵に至っては例外だ。
幸恵の周りにはいつも遊び好きな友達がいて
「やれ飲み会だ!!」
「やれコンパだと!!」
いつも幸恵を連れ出す友達がいる。
幸恵もそれに喜んで参加していた。
ただでさえ美人で目を付けられやすいのに、
人懐っこいときたら不安で仕方ない。
それに幸恵は雰囲気に流されやすく、
酔うとすぐに誰かに甘えてしまう。
そのため一夜の過ち・・・
ってことも過去にはあった。
俺として行かせたくないけど、
縛り付けたくもない。
そんな気持ちとの葛藤だった。
せっかく元気になって明るくなれたんだ。
遊ぶことを取り上げることは
俺にはできなかった。
「真樹、大好きだよ!!」
「うん。」
俺の腕にしがみつき、
上目使いで見てくる幸恵が
堪らなくかわいかった。
大丈夫!!
今の幸恵は俺だけを見てくれてる。
俺はそう信じていた。
しかし、そうじゃなかったんだ。