「あたし、ヴァレンタインの日に恋人と喧嘩したまま、事故にあって死んじゃったの。仲直りできなかったことがすごく悔しくて、心残りで、だからあたしきっと消えられないの。ねぇ、お願い!」


あたしに口を挟む隙も与えず、利真はせつせつと訴える。
関っちゃあんまり良くないんだろうな、だって楓が心配する……って、そんなことないか。

ってか、楓なんてもう知らないんだった。


「ね、お願い!あたしを辰馬のところまで連れて行って欲しいの」


利真はすごく必死な目であたしを見ていた。

その瞳が、なんだか自分と重なって、それとあと少し自分を追い立てるようにあたしの中で占めていたのは、楓への反抗心だった。