「うわ、超嬉しい!ほんとにあたしのこと見えてるんだね!ずっと気付いて欲しくていろんな人に話しかけてたんだけど、誰も気付いてくれなくてさー、寂しかったんだ!」
大人っぽい明るい髪の毛をきれいにセットして、去年の今頃に流行っていた形のコートを着ている女の子。
きゃぴきゃぴしゃべる彼女の身体はうっすらと透けていて、幽霊らしからぬあっけらかんとしたしゃべり口調だけど。
「……幽霊?」
「うんそうなんだよー!去年のヴァレンタインの日に死んじゃったんだ。ねぇ、あなた名前は!?」
「氷沙だけど、」
「ありがと、あたしは利真って呼んでくれたらいいからね!ねぇ、氷沙、お願いがあるの」
彼女……利真はあたしの手をとって(正確には触れないから取れてはいなかったけど)、うるっと大きな瞳を潤ませてあたしを見る。