「なんなの、あの女。超性格悪かったね」

「いくら顔が良くてもあれじゃねぇ、でもやっぱり高校生ってなんかひとつ違うだけなのに、別世界みたい」


ひそひそと会話を交わす二人の声が耳について、もう耳をふさぎたくなった。
……なんか、すごくもうどうでもいいから、大声で泣きたい。
そうしたらきっと、すっきりする。


「ごめん!あたし今日もう先帰るね!2人はゆっくり買い物してて」

「え、氷沙?帰っちゃうの?」

「うんごめん!また明日ね」


引きとめようとする2人の声を振り切るように、あたしは俯いたまま小走りにその場を離れた。
顔を上げれば目に入るヴァレンタインの華々しい装飾が、今はひどく痛い。