武藤充夏は天を仰いだ。



ああ。クソ。

今日も、空は高い。



「オイ、何処見て歩いてんだよ!」

「あ?」



いつの間にか、すぐ傍に男子がいた。



「なんだよ?」

「テメェの肩がぶつかったんだよ。どーしてくれんだ!」



…すげーな。今、何世紀だっけ?

…こんな喧嘩の売り方が有るか?

やべ、笑いそう。



「テメェ、さっき、女に言い負かされてた一年じゃねぇか」



『言い負かされてた』ってのは、誤解だ。

《説き伏せられて、やる気を無くした》が正しいな。



…はぁ。