「武藤君さ、なんで喧嘩なんてしてたワケ?」

「喧嘩売られて、退けなくなった」



溜息。



「…男の子ってのは単純なんだよ。

そろそろ、行くな。邪魔そうだし」

「そう思うなら、来ないでよ」

「礼が言いたくてな」

「は?」

「止めてくれて、ありがとうな」



溜息。



「そう思うなら、やらないでよ」



充夏は苦笑した。



「そう言うなって。

じゃあな」



同時に手を挙げる。

充夏は扉の向こうに消えた。



「…じゃあね。ミツカン」