どうしました?

何かおかしいですか?




一分程、年賀状の写真を凝視していた妻は、静かに吐息を吐き出した。




「女の子も、可愛いですわねぇ…」



………え?



「男の子には無い柔らかさがありますわよね」



………ええっ?





「瑞江さんもそう思いますか?」

「え?」

「女の子、かわいいですよね?」

「ええ…そう思いますけれど。何ですの?いきなり詰め寄って…」

「…………いえ、別に」




僕の願いは遠いかも…。






まぁ、それも良いか。


幸せなら。






皆が、今年も幸せであればいい。

来年も次も、こうして過ごせるならいい。




それだけで、僕も笑っていられるのだ。




その為の努力ならば、僕はいくらでもするだろう。



ずっと、この先も。


帰る場所、迎えてくれる場所を守る為ならば。




僕は祈り続ける。




きっと、貴志君も祈り続けているに違いない。


家族と同じ、穏やかな笑顔で。





今年、椿の花が再び芽吹く。


きっと、その冬の景色の下に、新しい光を得た家族の笑顔が集うだろう。





月花の祈り 終