静かな部屋に響く時計の秒針は
どうしてこんなにも耳障りなんだろうか。
時として
言葉とは本当に無力なものだ。
この場にふさわしい言葉が見つからない。
ただ単に
あたしの覚えた言葉が少ないのかもしれないけど…。
「何となくね、わかってたの。」
意外にも
先に沈黙を破ったのは香苗の方だった。
「そうちゃんがもうあたしを好きじゃないって……わかってた。
ううん、もしかしたら最初からあたしの事なんて好きじゃなかったのかもしれない。」
予想してた以上にしっかりとした面持ちで話す香苗に
あたしはただ黙って耳を澄す。
いつからこの子は
こんなに強くなったんだろうか。