バタン!!!



「わっ!!」


思い切り開かれた扉からあたしの胸に衝撃が走る。




「海音ぉ……っ。」


震える香苗が
あたしの肩を濡らした。






―――…


コトン…

「ありがとう。」



可愛いマグカップに
注がれた温かいミルクティー。

香苗の大好物。




「風邪、大丈夫…?」

こくんと頷く香苗に
本当は風邪じゃないでしょ?とは言えなかった。




聞いちゃ
いけない気がしたんだ。




重たい雰囲気に耐え兼ねたあたしは
出来る限り明るくなるように口を開いた。


「今日ね、浦吉がさ…」
「そうちゃんに…。」


だけど見事に香苗の言葉にかき消されてしまった。



あたしの心臓が跳ねる。


久々に聞いた
そうくんの名前。




「そうちゃんに……別れよ、って言われちゃった…。」