抱き合うあたし達を
通り過ぎる子達が見ていた。
だけど心地よくて。
恥ずかしい。そんな事思わなかった。
「海音の幸せはあたしの幸せでもあるんだよ?」
綿菓子みたいにふわふわな香苗の髪の毛は
幼い少女時代を思い出させる。
「だから、何でも話してよ。こんなあたしじゃいいアドバイスなんて出来ないけど…。」
体を離した香苗は
いつもの笑顔であたしに微笑んだ。
「いつも海音に助けてもらってるから……あたしも海音の役に立ちたいの。」
「……香苗…。」
涙が出そうだった。
「あたし達、親友。でしょ?」
香苗の言葉に嘘はなくて
すーっと染み込む水のようにすんなりとあたしに伝わった。
香苗は
あたしに出来た
初めての親友と呼べる存在。