あたしは
最も傷付けてはいけない人を傷付けた。
優しくて
こんなにもあたしを必要としてくれてる。
こんな最低のあたしに
『愛してる。』そう言ってくれた。
あたしはこの人を
裏切れない。
「痛いか?」
「大丈夫…。」
少し赤く染まった手首に大輔の細い指先が触れる。
結局
あたしは大輔を一人には出来なくて
この部屋に居る事を選んだ。
「ごめんな。つい、カッとなっちった…。」
そんな大輔に
あたしは首を横に振って答えた。
「あたしこそごめんね。」
そう呟いたあたしに
大輔が肩を寄せて抱き締めてくれた。
瞼を閉じて
そのぬくもりに身を預ける。