こんなふうに
心から笑えたのはどのくらい振りだろう。
がんじがらめになった心は
笑う事すらあたしから奪っていたんだと
白く輝く月を見て気が付いた。
キィと揺れるブランコはあたしの耳に切なく響いて
絡まる糸を解くように
あたしの心を溶かしていく。
「″海音″って、いい名前だよね。」
突然口を開いたそうくんにあたしは視線を向けた。
「そう?」
何だか照れくさくてすぐに視線を地面に落とす。
「いい名前じゃん。海の音、俺大好き。」
それはまるで
告白のように聞こえて。
あたしは海の音を耳の奥で思い浮かべた。