「はい。」
「ありがとう…。」
温かい紅茶が
冷たくなったあたしの手のひらに感触を取り戻させる。
「落ち着いた?」
優しい波みたいな声。
あたしは小さく頷いた。
そうくんの姿を見つけたあたしは
道端に座り込んで泣いてしまった。
涙の理由は
あまりに多すぎてわからない。
悲しいとか
寂しいとか
そうゆうんじゃない。
嬉しい。
それもどこか違う気がする。
だけど……
誰かを想って
こんなにも泣いたのは初めてだった。
月明りがそうくんを蒼く染める。
その横顔に
呼吸すら出来ない程愛しくて
また少し
心が泣いた――…