無情にも
画面に浮かぶ文字。


「嘘……。最悪…。」


″充電して下さい″




電池が切れた携帯電話ほど役に立たない物はない。


辺りを見渡すと
寂れた公衆電話が一つ。



だけどそうくんの番号は暗記していない。

いかにこの携帯電話に頼っていたか
よくわかった。




騒がしい集団を通り越して

あたしは走り出した。



大輔とよく歩いた道のりは
段々見慣れない景色へと変わる。




呼吸がうまく出来ない。


運動はおろか
走る事なんて体育の時くらいで


自分の体力の衰えに少しだけ悲しくなった。



そうくんに会いたい、それだけを思いながら
あたしはひたすら走る。



恋しい人は


きっと、あたしを見つけてくれる。