一度だけ
ゆっくりと深呼吸をしてあたしは通話ボタンに手を掛けた。
「も…もしもし…?」
『まだ起きてたの?不良だな~。』
電話越しに
笑うそうくんが浮かんだ。
『メール返って来ないから寝ちゃったのかと思った。』
「…ごめんね、ちょっと遊んでて…。」
そう言ったあたしに
そうくんが不思議そうに尋ねた。
駅でたむろしてる若者がわけのわからない踊りで盛り上がる。
『今どこ?もしかして外?』
「え?あ、うん…。」
チラッと視線を向けると
踊ってる集団と目が合ってしまった。
『危ねぇよ、女の子一人で!どこ居んの?』
受話器から聞こえたそうくんの言葉に
胸が高鳴った。
「えっと……Y駅の…」
ピーピー…
え――…