え―――…




掠れた声が耳をかすめて

あたしは顔を上げてそうくんを見た。






「……泣き虫…。」


そうくんの手が
あたしに触れる。





「……そう…くん…?」



嘘………。






夢かと思った。


幻………?





ううん、違う。




だってこの手は


「…海音……。」




今、あたしの涙を拭ってくれてる。






「……そうくん…。」


涙がまた
こぼれ落ちて。






「……わりぃ…。

体が上手く…動かなくて…抱き締めたいのに…。」




あぁ、そうか…。



きっと今日の為に

あたしは
生きて来たんだ。






「……いいよ…。


あたしが抱き締めてあげる……。」


「……海音…。」






そして―――…



「…やっと……

捕まえた…。」


そうくんの
優しい声があたしを包んだ。